高知市で土地を購入して家を建てることを検討している方向けに、高知市の都市計画のひとつである「お城の見えるまちづくり」についてご紹介していきます。
高知市内にある高度地区や景観形成重点地区では、素晴らしい景観を守りお城の見えるまちづくりを進めるためのルールが定められています。
そのことも踏まえたうえで、高知市内での土地購入を検討していきましょう。
まず、高知市が都市計画「お城の見えるまちづくり」を作るきっかけとなった高知城についてご紹介していきます。
高知城は、高知市の中心にある典型的な平山城です。
関ヶ原戦の功績により徳川家康から土佐二十四万石を拝領した山内一豊によって、1601年に築城が開始されました。
天守や追手門等の建物は国の重要文化財に指定されており、高知市だけでなく高知県や国にとっても重要な建造物といえるでしょう。
三層六階の天守は日本国内に残る木造の12古天守のひとつで、明治維新による全国的な廃城や天災・戦争等の危機を乗り越えて荘厳な姿を保っています。
また、高知公園内には内助の功で有名な一豊の妻・千代の像や土佐ゆかりの板垣退助の像もあります。
さらに高知城は天守と追手門が1枚の写真に無理なく収まる数少ないお城のひとつでもあり、追手門前は絶好の撮影スポットとなっています。
これらの文化遺産や景観を守り次世代に伝えるための都市計画として、「お城の見えるまちづくり」が推進されています。
高知市は、歴史的遺産でありシンボルでもある高知城周辺を都市景観を考えるうえで極めて重要な意味を持つものとし、都市計画「お城の見えるまちづくり」を進めています。
最近、高層建築物等により優れた景観や眺望が失われつつあることが問題視されています。
そのため都市計画の一環として景観形成基準が設けられ、今後特定の地区内に建築物を建てる際は高さ制限を守ること、建築物・工作物の建築や広告物の掲出等に際して届出を行うことが定められました。
次に、高知市の都市計画「お城の見えるまちづくり」で定められている高度地区について解説します。
高度地区は都市計画法に基づく地域地区のひとつであり、地区内では市街地の環境維持や土地利用の増進を図るために建築物の高さが制限されています。
高度地区は「最低限度高度地区」(最低高さ制限)と「最高限度を定める最高限度高度地区」(最高高さ制限)に大別されます。
最高限度を定める最高限度高度地区には、日照や通風を確保するための「斜線型高さ制限」や、戸建エリアに高い建物を建てないことで環境を維持する「絶対高さ制限」等があります。
一方、最低限度高度地区では土地の高度利用による土地利用の増進を目的にしているため、最低限度の高さよりも低い建物は建てることができません。
(都市計画「お城の見えるまちづくり」では、最低限度高度地区は定められていません)
建築基準法による斜線制限等が全国共通の規定であるのに対して、高度地区の制限内容は、導入の有無も含めて自治体ごとに異なっていることが特徴です。
都市計画「お城の見えるまちづくり」では、高知公園及びその南西に広がる官公庁地区(約23ha)と高知公園の東西に広がる公園・文教地区(約28ha)を28m高度地区と定めています。
この範囲には県庁・市役所・裁判所・県警や城西公園、そして大学・中・高等学校が含まれています。
高知城の景観を損なわないよう高さ制限を設け、都市計画「お城の見えるまちづくり」を推進しているのですね。
高知市の都市計画「お城の見えるまちづくり」の中で定められている景観形成重点地区とは、どんな地区なのでしょうか。
景観形成重点地区とは、重点的に景観形成を図る必要がある場所を指定して個性豊かなまちづくりを進めるものです。
まちづくりを進めるためのルールは「地区景観基本計画」や「地区景観形成基準」等と呼ばれ、主に地元住民によって定められます。
高知市の中心に位置する高知城は、歴史的・文化的価値が高く市民にも親しまれている街のシンボルです。
城からの眺望や城周辺の景観は将来に引き継ぐべき市民共有の財産であり、高知市の個性的かつ魅力的な都市景観の形成において重要な役割を果たしています。
そのため、都市計画「お城の見えるまちづくり」では高知城の眺望・景観及びシンボル性を保全し、都市の発展と豊かな景観が調和したお城の見えるまちづくりを目指して、周辺区域を景観形成重点地区に指定しています。
次に、具体的な整備方針について解説します。
建築物・工作物等の区分では、高知城からの眺望に配慮した高さ設定、及び高知城城周辺の格調高い景観と調和するデザイン・色彩設定が求められます。
広告物等の区分では、高知城からの眺望及び高知城への眺望の確保に努めること、ならびに高知城周辺の格調高い景観と調和するデザイン・掲出方法の設定が求められます。
より詳細な高知城周辺の景観形成重点地区整備基準では、建築物等の外観を上品で落ち着いたデザインにすること、外壁の色は周辺の緑や建築物と調和するものにすることが定められています。
建物の外観・外壁に使用する色彩の範囲については、マンセル表色系におけるR・YR系の色相を使用する場合は彩度6以下、Y系の色相を使用する場合は彩度4以下、その他の色相を使用する場合は彩度2以下に限られます。
屋根の色に関しては無彩色または低彩度のものを用いることとされており、テント等はけばけばしい色彩を避けるように指定されます。
自動販売機については、路上に面して設置する場合は地色にけばけばしい色を使用しないこと、屋上設備として設置する場合は建築物の一部となるようにデザインするか目隠し等を行うように努めることが求められます。
同様に、室外機やごみ箱等を設置する際も目立ちにくくするための工夫が求められます。
もし景観形成重点地区内の建築物の形態意匠制限に違反した場合、違反建築物の工事停止・是正命令または工事監理者・設計者等に対する業務停止処分が下されることがあります。
さらに、工事の停止・是正命令に違反した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
都市計画「お城の見えるまちづくり」において、高知市丸ノ内一丁目・丸ノ内二丁目・永国寺町・追手筋二丁目及び本町五丁目の一部が景観形成重点地区に指定されています。
景観形成重点地区の範囲はすでにご紹介した28m地区とほぼ同じであり、地区内には高知城のほかに官公庁関連施設や学校等があります。
まさに、お城が見えるまちづくりの中心部ですね。
高知市は、街の景観・眺望を守る都市計画として「お城の見えるまちづくり」を推進しています。
高知市での土地購入を考えている方は、都市計画の内容や目当ての土地が高度地区・景観形成重点地区に含まれるかどうかを早めに確認しておくとよいでしょう。