高知県で土地を購入して家を建てることを検討している方向けの助成金制度「こうちの木の住まいづくり助成事業」の概要についてご紹介していきます。
また、こうちの木の住まいづくり助成事業と併用できる助成金制度についてもまとめています。
事業開始のきっかけとなった高知県の林業の概要についても触れていますので、ぜひ確認してみましょう。
まずは、高知県における林業の概要について解説します。
県土の8割以上を林野が占める高知県は、国内でも特に林業が盛んな地域のひとつです。
森林の蓄積量は国有林・民有林の合計で1億9,468万㎥、そのうち民有林が85%となっています。
平成29年度における民有林の人工林1haあたりの蓄積量は前年よりも増加し、森林資源の充実によって林業がより一層活性化しています。
また平成29年度は高知県の林業産出額の8割近くを木材生産が占めており、家づくりに欠かせない木材や薪炭の産出額は増加傾向にあります。
平成29年次における高知県の木材需要量は85万4,000㎥となっており、そのうち約5割が製材用、約2割が県外移出用です。
供給面では、全体の8割程度に相当する70万6,000㎥を国産材が賄っています。
供給の約2割を占める外材の98%はニュージーランド材となっており、これは他県にみられない特色です。
また高知県内への木材(素材)供給量は85万5,000㎥となっており、そのうち約8割を県内の木材生産による出荷が占めています。
木材の需要量の内訳は県内製材業の製品生産が約5割、県外への出荷が約2割、県内のチップなどの生産が約1.5割となっています。
また県内で生産される木材製品23万9,000㎥の約3割が県内の製品市場等に出荷され、7割が県外に出荷されています。
このように林業が盛んな高知県では、地元の強みを活かしたこうちの木の住まいづくり助成事業を展開しています。
林業が盛んな高知県で木造住宅を建てる際、一定の条件を満たすとこうちの木の住まいづくり助成事業の助成金を受けられます。
こうちの木の住まいづくり助成事業の概要と、助成金を受け取るための手続き方法をご紹介していきましょう。
まず高知県内で新築・増築・リフォームを行う木造住宅であることです。
この要件には、延べ床面積の過半が木造となる混構造も含まれます。
2つめの要件は、延べ面積の過半の用途が住宅であることです。
3つめの要件は、基本部位の80%以上に県内産乾燥木材が使用されていることです。
リフォームに関しては、リフォーム部分に県内産乾燥木材が使用されていることが条件です。
4つめの要件は、瑕疵担保責任保険加入住宅であることです。
これはリフォームの場合は除きます。
5つめの要件は、住宅の引渡しまでに申込書受理通知書の交付を受けていることです。
次に、こうちの木の住まいづくり助成事業の助成金支給対象者について説明します。
助成金支給対象者は上記の5要件に該当する住宅を取得し自ら居住する、または高知県内に自ら所有し居住する木造住宅を5要件に沿ってリフォームする個人です。
いずれも、長屋などの自ら住まない住宅が併設されている場合や賃貸を目的とする場合は助成金支給の対象外となるため注意しましょう。
こうちの木の住まいづくり助成事業の助成金の補助額は、下に記載する①+②+③+④+⑤です。
ただし、①+②+③+④=上限100万円となっています。
補助額①「基本部位、その他の部位」の算出方法は、県内産乾燥木材の使用量㎥(小数点以下切捨て)×13,500円(1,000円未満切捨て)です。
補助額②「県内産JAS製品加算」の算出方法は、県内産JAS製品木材の使用量㎥(小数点以下切捨て)×2,000円です。
補助額③「内装化粧仕上げ材」の算出方法は、県内産乾燥木材の使用面積㎡(小数点以下切捨て)×2,000円です。
補助額④「長期優良住宅加算」では、長期優良認定木造住宅に対して20万円が加算されます。
補助額⑤「子育て加算」では、児童手当受給対象となる児童が3人以上いる世帯に対して補助額③と同額が加算されます。
次に、手続きの概要について解説します。
手続きの大まかな流れは、実施申込み→(県)受理通知書発行→住宅の引渡し・事前審査受審→補助金交付申請→(県)交付決定通知発行・補助金振込となります。
ただし、申請地または代理者所在地のいずれかが幡多地域にある場合は手順が若干異なります。
注意点としては、受理通知発行前に引き渡した場合に申込みが無効となることです。
また、交付申請は住宅の引渡し日より4週間後が提出期限となっています。
県庁閉庁日が提出期限の場合は、直前の開庁日が期限となります。
現地審査では、提出書類が必要になります。
基本部位及びその他の部位(構造材、下地材)の使用明細書と、内装化粧仕上材の使用箇所が分かる平面図です。
この平面図は、床と天井で分ける必要があります。
さらに、壁の仕上材の使用箇所がわかる展開図も必要です。
現地審査は原則として火・木曜日に実施され、事前審査対象住宅は一般社団法人高知県建設技術公社への確認が必要です。
令和元年度のこうちの木の住まいづくり助成事業は予算に達したため、助成金の申込み受付を終了しています。
来年度に申請予定の方は、新年度の助成金申し込み受付が始まったらすぐ手続きできるよう早い段階で概要や手続き方法をチェックしておくことをおすすめします。
同時に、こうちの木の住まいづくり助成事業のホームページでこまめに最新の申し込み状況を確認するとよいでしょう。
国や自治体等が実施する住宅関連助成金制度の中には、こうちの木の住まいづくり助成事業と併用できるものとできないものがあります。
併用できない事業の代表例として、次世代住宅ポイント制度があります。
次世代住宅ポイント制度では「国費が充当されている地方公共団体の補助制度は併用不可」と定められています。
こうちの木の住まいづくり助成事業の助成金には国費が充当されているため、次世代住宅ポイント制度と併用することはできません。
地域型グリーン化事業はこうちの木のすまいづくり助成事業と併用できますが、その場合長期優良住宅加算はできませんので注意してください。
こうちの木の住まいづくり助成事業は、原則として他の補助事業と併用できないとされています。
しかし、以下の条件を満たした補助事業はこうちの木の住まいづくり助成事業との併用が可能です。
①併用不可と定められていない事業(必須)
②A、Bのいずれかに該当する事業
A.
補助対象が木材を対象としていない
B.
補助対象に木材が含まれる場合は対象事業費を区分できる(例:耐震改修補助金)、または補助金合計額が木材購入額を超えない(例:市町村地域材補助金)
これらの条件を満たす事業として、高知県内市町村が実施する木造住宅補助事業、定住促進関係事業、住宅耐震事業などがあります。
また、地域型グリーン化事業(地域材加算を除く)やネット・ゼロ・エネルギー・ハウス事業、すまい給付金もこうちの木の住まいづくり助成事業と併用できます。
こうちの木の住まいづくり助成事業は、林業が盛んである高知県の強みを活かした助成金事業です。
手続きの際は、すみやかに準備し動き出すことが大切です。
これから高知県で家を建てたい方やリフォームしたい方は、制度の概要や手続き方法等を早めにチェックして上手に助成金を受け取りましょう。